トルコはイスラム教徒の多い国であるが、アラブ諸国とは違って信教の自由が認めら
れている。街を歩いていると、信仰心の篤いイスラム教徒の女性は、いっぺんに分かる。
それは、身体の一部ないしは全体を隠しているからである。我々異教徒からすると最も
異質な感じを受けるのが、全身を黒づくめの服で被い、もちろん頭も全部被い、目だけ
出しているという姿である。初めて見たときは、さすが身体が引けたほど、異様な姿に
見えた。こういった最も保守的な姿は、たとえイスタンブールで見かけたとしても、ま
ちがいなくお上りさんである。普段のイスタンブールでは、まず見かけない姿である。
次に保守的な姿は、黒づくめではないのだが、スカーフで髪を被い、顔以外の膚を見せ
ないため、35,6度もあろうかというときですら、厚手のレーンコートのようなものをす
っぽりと着込んでいる人たちである。全身黒づくめの女性よりは、どう見てもこちらの
方が暑そうである。それ程厚手のものを着込んでいるのである。コートの色は多くはグ
レーで地味なものである。おしゃれは、髪を被うスカーフに集中している。日本で使わ
れているスカーフを想像すれば十分であろう。こういったスカーフを着用している人は、
無論隠しているのは髪だけで、顔は隠してはいない。この場合のスカーフの巻き方は、
「マッチ売りの少女」ふうである。同様に顔は出し、髪だけを被っているアラブの女性
のスカーフの巻き方は異なる。アラブのそれは、「真知子巻き」である。黒服で黒のス
カーフをする女性に、トルコで何度がお目にかかったが、あの美しさは実に底知れない
ものを感じさせる。すごい。誘をトルコの女性に戻すと、一番簡単なイスラム教徒の場
合は、スカーフで髪だけを被っている、半袖で膚は露出しているのである。こういった
明らかにイスラムの女性がいるかと思えば、目鼻立ち、髪の色など、どう見てもヨーロ
ッパの人と変わらない女性が、一方でいる。服装なんかも、何らヨーロッパと変わらな
い。そういった女性が混在しているのがトルコである。殊に、イスタンブールは、この
傾向がはっきりしている。黒い服の下、厚手のコートの下に、どのような物を着込んで
いるのか、興味が引かれるところだが、これぱっかしは覗くわけにはいかない.そんな
ことをすれば、痴漢的行為ばかりか背信行為として指弾されるであろう。ただ一度だけ
こんなことがあった。イスタンブールの名高き観光地のアヤ・ソフィアで会った黒づく
めの10代の女性の裾から、ジーパンが顔を出していたのが、何ともほほえましかった。
一事が万事とするのは禁物だが、僕の見たただ一つのケースである。
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